高齢化が進む日本で、訪問診療のニーズが年々高まっています。
しかし、「訪問診療は高額なのでは？」という不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
この記事では、訪問診療の費用について、基本料金から利用可能な支援制度まで、分かりやすく解説していきます。
在宅医療を検討されている方に、ぜひ参考にしていただきたい情報をお届けします。
【2025年最新】訪問診療の費用がまるわかり！医療費の内訳から支援制度まで
2025年03月11日更新
牧
一般社団法人 誠創会 代表理事/あさがおクリニック渋谷院 院長
監修
牧 賢郎 医師
東京大学医学部を卒業後、日本赤十字社医療センター救急科に勤務。救急医として術後管理や外傷治療など、幅広い診療経験を積む。救急科専門医取得を経て、東京都渋谷区笹塚にクリニックを開設し、在宅医療を軸とした地域医療に携わる。一般社団法人誠創会代表理事として、「理想の地域医療を創る」というビジョンのもと、地域に根ざした医療の実現に尽力している。
訪問診療にかかる費用について
基本料金の目安と計算例
訪問診療の基本料金は、患者さんの負担割合によって異なります。
月2回の訪問診療を受けた場合の1か月の負担金額の目安は以下のとおりです：
- 1割負担：約7,000円
- 2割負担：約14,000円
- 3割負担：約20,000円
ただし、実際の金額は訪問回数や検査の有無など診療内容によって変動します。
訪問診療の費用は以下の式で算出されます：
訪問診療の費用 = (基本診療費 + 加算される診療費) × 負担割合(1〜3割)
基本診療費は主に以下の3つを合計した金額になります：
- 訪問診療料
- 在宅時医学総合管理料
- 居宅療養管理指導料
加算される診療費は、血液検査や尿検査などの検査費用、緊急往診の費用など、医療行為に応じて変わります。
通常の外来診療との料金比較
訪問診療の費用は、通常の外来診療（通院）と比較すると一般的に高くなる傾向があります。
通院にかかる費用の目安（厚生労働省の「医療保険に関する基礎資料」令和3年度による）：
- 1割負担：約1,700円/月
- 2割負担：約3,400円/月
- 3割負担：約5,200円/月
これらの金額は薬局での調剤費用を含む1年間の費用（約20万円）を12で割った概算値です。
24時間365日の体制を整える必要がある分、訪問診療の方が通院よりも費用が高くなる傾向があります。
下記のような要素を総合的に考えると、訪問診療の方が経済的になるケースもあります
- 通院のための交通費が不要
- 待ち時間や移動時間の節約
- 家族の付き添いが必要な場合の負担軽減
費用負担を軽減する制度
訪問診療の費用が高額になった場合、以下の制度を利用して負担を軽減することができます
高額療養費制度
- 月ごとの医療費が所得に応じた上限額を超えた場合、超過分が払い戻されます
- 所得に応じて上限額が設定されており、例えば69歳以下で年収約370万円以下の場合、月額上限は57,600円です
医療費控除
- 1年間（1月1日から12月31日）に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告により所得控除を受けられます
- 控除額の計算方法：支払った医療費の総額 - 保険金などで補填される金額 - 10万円 = 控除対象額
これらの制度を活用することで、訪問診療にかかる費用負担を軽減することができます。
ただし、高額療養費制度の利用には申請が必要で、支給までに3カ月程度かかることに注意が必要です。
訪問診療の利用を検討する際は、医療の質や患者さんの希望、家族の介護負担なども含めて総合的に判断することが重要です。
費用面だけでなく、受けられる医療サービスの内容や、患者さんと家族のQOL（生活の質）向上も考慮に入れて決定することをおすすめします。
牧
牧 賢郎 医師
介護保険との関連性と併用方法
訪問診療は医療保険のサービスですが、介護保険のサービスと組み合わせることで、より充実したケアを受けることができます。
活用例：
- 訪問診療（医療保険）＋訪問介護（介護保険）
- 訪問診療（医療保険）＋デイサービス（介護保険）
- 訪問診療（医療保険）＋福祉用具レンタル（介護保険）
ここで大切なのは、これらの制度を最大限活用するためには、事前の準備と適切な申請が必要だということです。
医療機関のソーシャルワーカーや地域包括支援センターに相談することで、あなたの状況に最適な組み合わせを見つけることができます。
お住まいの地域の医療機関や地域包括支援センターに足を運んで、具体的な相談をしてみましょう。
制度は定期的に更新されることもありますので、最新の情報を得ることが大切です。
あなたの状況に合った、最適な医療・介護サービスの組み合わせを見つけていきましょう。